白い硬質磁器が金より価値のあった18世紀のヨーロッパでは、高価な中国磁器を所有することが国家の権威の象徴でした。所有することだけでなく自国での磁器の製作を夢見ていた1人の国王、ザクセン国(当時ドイツは三つの国に分かれていてその一つ)のアウグスト選帝候の命により1709年に白磁の製作に成功したのが、若き錬金術師のヨハン・フリードリッヒ・ベトガーです。そしてそれがヨーロッパにおける真正磁器の歴史の幕開けとなります。
翌1710年にマイセンのアルブレヒト城内に王立磁器製作所が設立され、ここから今に至るマイセンの栄光の歴史がスタートします。
自国に富をもたらす白磁の製作のノウハウを他国に知れることを恐れた国王は、ベドガーをアルブレヒト城内に幽閉してしまいます。世の中から隔離されてしまったベドガーは、酒びたりの日々をおくらざるを得なくなり37歳の若さで他界してしまいます。今、私達の手元でさりげなく輝きを放っている、高貴で美しいマイセン磁器の栄光の歴史の影に、この様な悲しいストーリーが隠されていたんですね。
ドレスデンから電車に乗ること約30分でマイセンの街に到着です。モダンなマイセンのビルの中には、博物館やマイセンの食器で食事が出来るレストラン、観光客用に絵付け見学などができる施設があります。その近代的な建物の後方に、屋根の上に双剣マークがそびえるマイセンのファクトリーがあります。そのファクトリーから歩いて10分程マイセン駅の方向に戻ると、エルベ河の河畔にマイセン発祥の地であるアルブレヒト城が、風景プレートのデザインと同じたたずまいを見せています。現在に至るまで最高級磁器の地位を維持し続けるマイセンの歴史を見守るこの古城にも、是非足を運んでみてください。 |